性欲と腎

東洋医学では、『腎は精を貯蔵する』と言い、性にとても深く関係しています。精は西洋医学では成長ホルモンと言い換える事が出来ます。

では、性欲と【腎】の関係の前に【腎】の事を少し、まとめお伝えします。

少し難しい説明かも知れませんが、知っておくと性欲減退が何故起こるのかが分かってきますよ。

東洋医学では、【腎】にある精気を【腎気】といい、腎気には生まれて時からもっている【先天の気】と、食事などによって得られる【後天の精】があります。

【腎】の精気とは何か?

【腎】にある精は気に変化し【腎気】となります。

物質的なもの(精)がエネルギー(気)に変化すると言うことです。

腎精と腎気を合わせて【腎の精気】と呼びます。

車で例えると、走らせるにはガソリン(精)が必要ですが、ガソリンのままでは車は走りません。ガソリンを燃焼させてエネルギー(気)にすることで車を動かすということです。

そして、腎には【腎陰】と【腎陽】と言うものもあります。

陰陽で分けると精は陰に属するので腎精を腎陰とし、気は陽に属するので腎気は腎陽と呼ばれます。

腎陰(腎精)は『陰液』の根本となるもので、体内の臓器を潤し、滋養します。

腎陽(腎気)は『陽気』の根本となるので、臓器を温める、新陳代謝を促進します。

女性に多い体が冷えるというのは腎陽の不足(腎陽虚)、更年期などのホットフラッシュは体が乾いて微熱が出たりする腎陰の不足(腎陰虚)という事になります。

では本日の本題である性欲という面をお伝えします。

腎精の作用に脳への影響もあります。

腎精が不足して脳を滋養出来なくなり、性欲の減退が起こるんです。

一般的に視覚的刺激(みる)、聴覚的刺激(きく)、触覚的刺激(ふれる)と言った五感が刺激となり、その全てが感覚神経を通って、脳へ伝わります。

その時、視床下部の性欲中枢を興奮させ、脊髄を通り性器に伝わります。

また、脳下垂体から性ホルモンの分泌も、この視床下部によってコントロールされています。その為、腎精が不足すると、上記のシステムが低下してしまうので性欲の減退が起こります。

その為、腎精を補う事が性欲を維持する事に繋がります。

また、体の歪みからも性の事がわかります。

右の腎を腎陽といい、直接的で現実的な性の肉体快感=オルガズムの世界を受け持ちます。

左の腎を腎陰といい、情愛的で精神的=ロマンティックな世界を受け持っています。

体の歪みは性癖も左右してくる可能性があるんですよ。

例えば、腎が位置している高さでの左右の硬さや、バランスが崩れていたり、動作時に歪みを生じるケースは多々見られます。

この結果、腎の機能が落ちてしまったら性欲のバランスを崩してしまう事もありますね。

勿論、逆も言えるので上手く性欲が満たされていなかったり、不満があったり、性に対する不安があれば、腎機能や腎精(エネルギー)の停滞を生みだし、その結果、背中の筋肉バランスを悪くしてしまう事も多々あります。

たかが腰痛、腰の硬さなんてっと思っていても、意外と性欲と関係してるんですね。

体が真直ぐになると性的な感情・性欲のコントロールもしやすくなりますよ!

最後に性欲をしっかりする為の腎養生をお伝えします。

腎が精を蓄える季節は冬になります。

1日では、夜の11時から夜中の2時までの3時間が腎の時間帯となります。その為、この時間に睡眠のピークにすることが大切になります。

腎精を補う為の食材として

➀黒い食材(黒豆・舞茸・黒きくらげ・玄米)

②豆類(大豆・小豆・黒豆・いんげん)

③野菜(ブロッコリー・ほうれん草・白菜・かぼちゃ)

④種実(ゴマ・胡桃・松の実・クコの実・桑の実)

これらを食事に摂り入れて、腎精を補ってください。

鹹味(かんみ)も補うとより効果的です。